006 実験

二重跳びを繰り返すアンドロイドの真下にある実験室に来ていた。遅効性の毒となる三回性ホログラムについての要領の作成を頼まれていたのを先程思い出し、脳をほんの少しだけ未来の方向にシフトさせたわけだ。私が法理家を目指すのはこの三回性がもたらす問題自体が世間から発見されていないことへの危機感と、ほんのちょっとの荒稼ぎの思いにあるわけだが、後者は法理家が現在以上に貴重なものであることが必要だから諦めている。人間がゴミのように溢れ勝っている現状、少しでも掃除してくれる人が必要なのはそうなのだが、これは天と地がひっくり返る前に一度交わってひしゃげて上下逆さまになるくらいの難易度であるから、やっぱり諦めている。

実験ノートには、講義レジュメの抜粋と付随する理解するためのメモ書きをしたためてある。人間というものは書き写すだけでは一度引き出しにしまった記憶を開くことは困難なままで、やはり理解というバールのようなものでこじ開けてあげないといけないというのが私の考えだ。もっとも、現実にはそのバールすら想起しなくてはならないから、覚えるべきものを見ずに思い出せるようにするという訓練を小さなオーク木の椅子に座ってこうしてやっている。はたから見れば一人座って虚空を見つめている仙人のようにも見えるかもわからない。

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